WEB予約
03-5454-1849

うつ病

日々の生活のなかで気分が沈むことは誰にでもありますが、それが長く続き、日常生活に影響を及ぼしている場合は「うつ病」の可能性があります。うつ病は心の風邪と表現されることもありますが、単なる気分の落ち込みとは異なり、医学的な治療が必要な状態です。

特に現代社会では、仕事や家庭、人間関係などのストレスが複雑に絡み合い、自覚のないまま心のバランスを崩してしまうことがあります。周囲に相談しづらいと感じる方も多いため、早期の気づきと専門的な支援が重要です。

うつ病の原因

解明はまだ途上になりますが、この障害が脳の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンの代謝低下と関連する可能性が指摘されています。一定の遺伝傾向が認められ、過重労働、対人ストレス、経済状態の悪化、近しい人との別れなどさまざまな環境要因が関与しています。

うつ病の症状

うつ病における『抑うつ気分』とは、気分の落ち込み、将来への悲観的な思考、興味や関心の喪失、自責感、自己評価の低下、死にたいという希死念慮などが含まれます。これら個別の症状に加え、全体として気分が沈んだ状態に染まることが特徴です。『精神運動制止』と呼ばれる心身の活動性の低下もよく見られます。これは、意欲の低下、疲労感、思考力や集中力の低下、決断困難、記憶力の低下などとして現れます。身体症状としては頭重感、頭痛、食欲不振、倦怠感、肩こり、性欲の減退、味覚の変化、原因不明の痛みなどがみられ、身体疾患との鑑別が必要な場合もあります。

うつ病の特徴の一つに「日内変動」があり、一般的には午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて軽快する傾向がみられます。なお、逆の経過をたどる例もあります。睡眠障害も高頻度にみられ、中途覚醒や早朝覚醒が典型的ですが、過眠傾向を呈する場合もあります。食欲も変動があり、一般的には低下しますが、過食となる例も存在します。

うつ病の治療法

治療の中心として挙げられることが多いのが薬物療法です。かつては三環系、四環系抗うつ薬などがよく使用されていましたが、近年ではSSRIやSNRI、NaSSAという種類のものが主流となっています。現在はその他にもS-RIMと呼ばれる種類のものもよく使用されています。脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの働きを高めることで、気分の改善を促します。これらの物質は神経同士の情報伝達に関わっており、うつ病ではそのバランスが乱れていることが知られています。これらの薬は飲んですぐに効果が出るわけではありません。多くの場合、効果が現れるまでに2〜3週間程度かかります。その理由は、神経細胞や受容体に変化が起きるまでに時間がかかるためです。

それぞれの薬剤によって効果や副作用の出方が異なるため、医師とよく相談して自身の症状や生活に合わせたものを選ぶのがよいでしょう。抗うつ薬の継続使用には再発予防の効果もあります。症状が良くなってすぐに服用をやめると、再発のリスクが高まります。研究によれば、6〜10か月程度は服用を続けた方が再発率が低くなることが分かっています。

うつ病に罹患している状態では認知(何かに接した時の認識と反応)の歪みが生じやすく、否定的な思考が先行してしまったり、小さな失敗を大きなものと捉えてしまう傾向があります。先読みをして取り越し苦労をする傾向や、過去の失敗にこだわる傾向もあるようです。そうした考えの癖を修正することはうつ病の治療に役立ちます。心理療法的な面接は薬物療法と同等に重要です。