WEB予約
03-5454-1849

こころの情報室

自律神経失調症は何科?|検査では異常がないのに症状がつらい時の受診先

「検査では異常なし」なのに、つらい症状が続いていませんか

「めまいやふらつきが続くのに、耳鼻科では異常なしと言われた」「動悸で内科を受診したけれど、心臓に問題はないと言われた」「頭痛やだるさで検査を受けても、原因が見つからない」。そんな経験をお持ちではないでしょうか。体の検査で異常が見つからないのに、つらい症状が続く。その背景には、自律神経の乱れが関係していることがあります。周囲からは「気のせい」「疲れているだけ」と受け取られがちですが、症状そのものは決して気のせいではなく、ご本人にとっては日常生活に支障が出るほどつらいもので
す。そして、「この症状は何科に行けばいいのか分からない」という迷いこそが、自律神経の不調を抱える方に最も多いお悩みのひとつです。

自律神経失調症とは?実は正式な病名ではありません

自律神経とは、心臓の拍動、血圧、体温、呼吸、胃腸の働きなど、体の機能を 24 時間自動で調節している神経のことです。活動している時に働く「交感神経」と、休息の時に働く「副交感神経」の 2 つがバランスを取り合うことで、体の状態は保たれています。
このバランスがストレスや生活リズムの乱れなどによって崩れ、さまざまな症状が現れている状態が、一般に「自律神経失調症」と呼ばれています。

本来、日中は交感神経が優位になって心身を活動モードにし、夜は副交感神経が優位になって休息モードへと切り替わります。ところが、強いストレスが続いたり、夜遅くまで仕事やスマートフォンで脳の興奮が続いたりすると、この切り替えがうまく働かなくなります。アクセルを踏みっぱなしで、ブレーキが効きにくくなっている状態をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

実は、「自律神経失調症」は、国際的な診断基準に定められた正式な病名ではありません。検査でははっきりした異常が見つからないものの、自律神経の乱れによると考えられる症状が続いている状態を、広く指す言葉として使われています。診察を進めていくと、背景に体の病気が隠れていることもあれば、不安症やうつ病などの心の不調、あるいはストレスに対する体の反応が見つかるこ
ともあります。「正式な病名ではないなら大したことはない」のではなく、原因を丁寧に見極める必要がある状態、と考えていただくのがよいでしょう。

自律神経の乱れで起こりやすい症状|体とこころの両方に現れます

自律神経は全身の働きを調節しているため、乱れた時の症状も全身のあちこちに現れます。代表的なものを挙げます。すべてが当てはまる必要はなく、いくつかの症状が重なって続いている、という方がほとんどです。

【体の症状】

  • めまい、ふらつき、立ちくらみ• 動悸、脈が速くなる感じ
  • 息苦しさ、胸の圧迫感
  • 頭痛、頭が重い感じ
  • 倦怠感、疲れやすさ
  • ほてり、多汗、手足の冷え
  • 胃の不快感、吐き気、下痢や便秘
  •  肩こり、耳鳴り、のどのつかえ感

【こころの症状】

  • 不安感、イライラ
  • 気分の落ち込み
  • 眠れない、夜中に目が覚める(中途覚醒)
  • 集中力の低下

複数の症状が同時に現れたり、日によって症状の場所や強さが変わったりするのも特徴です。ストレスを感じる場面で強まるめまい・頭痛・痛み(心因性のめまい、心因性頭痛、心因性疼痛と呼ばれることもあります)のように、心の状態と体の症状が連動しているケースも少なくありません。
また、症状が移り変わるために、「あちこちの科を回ったけれど、結局原因が分からなかった」という経験をされる方も多くいらっしゃいます。

自律神経が乱れる原因

自律神経が乱れる原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって起こることがほとんどです。

  • 精神的なストレス:仕事のプレッシャー、人間関係、家庭の悩みなど
  • 環境の変化:就職・異動・引っ越し・結婚など、生活の大きな変化
  • 生活リズムの乱れ:夜更かし、睡眠不足、交代勤務、食事時間の不規則さ
  • ホルモンバランスの変化:月経周期、妊娠・出産、更年期など
  • 気候や季節:寒暖差、気圧の変化、季節の変わり目

注目していただきたいのは、「嬉しい変化」もストレスになる、という点です。昇進や結婚のようなポジティブな出来事でも、環境の変化そのものが自律神経には負担になります。「特に嫌なことはないのに調子が悪い」という場合も、この数か月の生活の変化を振り返ってみると、思い当たることが見つかるかもしれません。なお、原因を「これ」とひとつに特定できないことも珍しくありませんが、特定できなくても治療や対処は始められますので、ご安心ください。

自律神経失調症になりやすい人の特徴

自律神経の乱れは誰にでも起こりますが、次のような傾向のある方は、不調が現れやすいといわれています。

  • 真面目で責任感が強く、無理をしてでもやり遂げようとする
  • 完璧主義で、細かいことが気になる
  • 周囲に気を使い、頼まれると断れない
  • 悩みや弱音を人に話すのが苦手で、ひとりで抱え込みやすい
  • 夜勤やシフト勤務など、生活が不規則になりやすい働き方をしている
  • 寒暖差や気圧の変化に敏感
  • 思春期や更年期など、ホルモンバランスが変化しやすい時期にある

当てはまるものが多いからといって、必ず不調になるわけではありません。ただ、こうした傾向のある方は、ストレスや疲労を自覚しにくく、限界まで頑張ってしまいやすいのも事実です。「自分は大丈夫」と思っている時ほど、体が先にサインを出していないか、一度立ち止まって振り返ってみてください。性格を変えようとする必要はありません。ご自身の傾向を知って、無理をする手前
で休むきっかけにしていただければ、それで十分です。

自律神経の乱れは何科?受診先の考え方

自律神経の乱れが疑われる時の受診先は、次の順で考えると迷いにくくなります。

【まだ体の検査を受けていない場合】
まずは、いちばん強い症状に対応する診療科で、体の病気がないかを確認しましょう。動悸なら内科や循環器内科、めまいなら耳鼻咽喉科、頭痛なら内科や脳神経内科、胃腸の症状なら消化器内科、といった具合です。自律神経の乱れとよく似た症状は、甲状腺の病気や貧血、不整脈などでも起こるため、体の病気を除外しておくことはとても大切です。

【検査で異常がない・症状が続く場合】
体の検査で異常が見つからないのに症状が続く時、ストレスや疲労に心当たりがある時、不眠や気分の落ち込みなど心の症状を伴う時は、心療内科・精神科の受診をおすすめします。心療内科は、ストレスなど心の要因が関係する体の不調を専門的に診る診療科で、自律神経の乱れによる症状は、まさにその中心にあたります。すでに複数の科で検査を受けて異常がなかった方は、最初から心療内科・精神科にご相談いただいて差し支えありません。
「内科と心療内科、どちらに行くべきか判断がつかない」という時は、心療内科でご相談いただいて構いません。診察の上で体の検査が必要と考えられる場合には、適切な診療科をご案内します。当院(渋谷こころのクリニック)でも、自律神経の乱れによる不調のご相談に対応しています。

心療内科・精神科では、どんな診察・治療をするのか

心療内科・精神科では、特別な機械で自律神経を測定して診断を確定する、というわけではありません。中心になるのは、丁寧な問診です。

  • いつから、どんな症状が、どんな場面で強くなるのか
  • これまでに受けた検査の結果(結果表をお持ちであればご持参ください)
  • 睡眠・食事・仕事など、生活の様子
  • この数か月から数年の間の、環境の変化やストレス

こうした情報を伺いながら、体の病気の可能性や、不安症・うつ病といった心の不調の有無を見極めた上で、状態に合わせた治療を組み立てていきます。治療の基本は、生活リズムの調整と、ストレスへの対処を一緒に考えていくことです。たとえば、睡眠と起床のリズムをどう立て直すか、負担になっている業務や人間関係にどんな調整の余地があるか、休息の取り方をどう変えるか、といったことを、生活の実情に合わせて具体的に相談していきます。ストレスの受け止め方のくせを一緒に見直していく、精神療法的な関わりも回復の助けになります。症状がつらい場合には、眠りを整えるお薬や不安を和らげるお薬などを補助的に用いることもあります。どのような治療を行うかは、お一人おひとりの症状や生活に合わせてご提案します。

自分でできるセルフケア|自律神経を整える生活のポイント

受診と並行して、日常生活の中で自律神経を整える工夫も役立ちます。

  • 起きる時間を毎日そろえ、朝に日光を浴びる
  • 就寝前のスマートフォン、カフェイン、アルコールを控えめにする
  • 38〜40 度くらいのぬるめのお湯に、ゆっくり浸かる
  • 散歩やストレッチなど、軽い運動を習慣にする
  • 息をゆっくり長く吐く呼吸を意識する
  •  昼食後など、日中に 5〜10 分だけ目を閉じて休む時間をつくる
  • 「何もしない時間」を、意識的に予定へ入れる

大切なのは、全部を完璧にやろうとしないことです。頑張りすぎる姿勢そのものが、自律神経の負担になることもあります。できそうなものを 1 つか 2 つ、生活に取り入れるところから始めてみてください。セルフケアだけでは症状が楽にならない時は、無理をせず受診をご検討ください。季節の変わり目や気圧の変化が苦手な方は、天気予報を見て「今日は無理をしない日」と先に決めておくのも有効です。

自律神経の乱れに関するよくある質問

Q.内科で「異常なし」と言われました。それでも受診してよいのでしょうか?
A.はい。「検査では異常がないのに症状が続く」という状態こそ、心療内科・精神科が力になれる場面です。検査結果をお持ちいただければ、体の病気の確認を重ねて行う必要が減り、診察もスムーズに進みます。

Q.この程度の症状で心療内科に行くのは、大げさではありませんか?
A.大げさではありません。症状が軽いうちにご相談いただくほうが、回復も早い傾向があります。「病気かどうか分からないから相談する」という受診の仕方で構いません。

Q.放っておけば、そのうち治りますか?
A.ストレスの原因が解消されると、自然に楽になることもあります。ただ、無理を続けるうちに症状の種類が増えたり、不眠や気分の落ち込みが強まったりして、回復に時間がかかってしまうケースも少なくありません。生活に支障が出ている時は、早めにご相談ください。

Q.めまいだけ、頭痛だけでも相談できますか?
A.ご相談いただけます。症状がひとつだけでも、検査で異常がなく、つらさが続いているのであれば、それだけで十分に相談する理由になります。

Q.漢方薬や市販薬で様子を見てもよいですか?
A.市販薬や漢方薬で症状が和らぐ方もいらっしゃいます。ただし、合うお薬の選択には体質や症状の見極めが必要ですし、市販薬でしのぎ続けているうちに受診が遅れてしまうケースもあります。2 週間ほど試しても変化がない時や、症状が強まってくる時は、診察でご相談ください。

まとめ:そのつらさは「気のせい」ではありません

自律神経の乱れによる不調は、検査の数値には表れにくい一方で、ご本人のつらさは確かなものです。まずは体の病気がないかを確認した上で、それでも症状が続くようであれば、心療内科・精神科にご相談ください。ストレスや生活との関係を一緒に整理しながら、少しずつ体調を立て直していくことができます。
原因の分からない不調が続いてお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
院長
渡辺雄至

福井大学医学部医学科を卒業し、2年間の臨床初期研修を修了。
大阪市立大学医学部附属病院神経精神科、ハートランドしぎさん病院などで研鑽を行い、2021年より本クリニック院長に就任。

所持資格
  • 精神保健指定医
  • 精神神経学会専門医・指導医
  • 日本医師会認定産業医
  • コンサータ登録医